ILC絶対に造るべき ノーベル賞受賞の米国人研究者2人が会見 - 胆江日日 ILCニュース / Tanko Nichinichi ILC news

 

絶対作るべきですと。でもなんで日本なの?そんなに大事ならお二人でアメリカ政府をなぜ説得しないの?ノーベル賞を取ったバリッシュさんの仕事はLIGOによる重力波検出。でもそれってILC推進の先生が言う費用を信用したとしても、1/10以下の費用のプロジェクトですよね。なんで日本が作らないといけないの?しかも半分以上も税金払って?アメリカの方が科学予算が圧倒的に多いのになぜ?

?????

やっぱり、アメリカ様が自ら実施するほどの優先順位はないが、日本が実施するには適当な程度に重要、っとしか思えません!

文部科学省!

国際リニアコライダー(ILC)に関する有識者会議 ILC計画の見直しを受けたこれまでの議論のまとめ:文部科学省

こんなのがありました。

詳しく、かつ僕でも読もうと思うレベルでわかりやすく書いてある!

 

河北新報から

<ILC>自民軸に連絡協来月設立を報告 超党派議連総会 | 河北新報オンラインニュース

河村建夫議連会長(同)は「ILCを前に出した予算が盛り込まれれば日本政府の意思表示になる」との見通しを示した。

だそう。

来年度の予算編成で決まる、と読める。さぁ、どうなるか。

 

さてさて文部科学省のまとめをさらっと読みました。気になったのは、科学的意義のところ。

(1)科学的意義
○ 2017 年末までのLHC の実験結果としては、ヒッグス粒子の発見以降様々な成果はあるものの、標準理論を超える新粒子(強い相互作用をする超対称性粒子の可能性がある粒子)や新現象(暗黒物質余剰次元)の兆候は捉えられていない。さらに、LHC において13TeV によるⅡ期計画が続く2018 年末までに新粒子や新現象が観測される可能性は低いことが判明している。
○ その結果を踏まえて、国際的な研究者組織が、ヒッグス粒子の精密測定の重要性から、ILCは当初計画の500GeV から衝突エネルギーを下げて250GeV でヒッグスファクトリーとして運転を行うように見直したことを受けて、有識者会議では250GeV ILC の科学的意義について検証した。
○ 250GeV ILC による実験が最も優位性を有するのは、ヒッグス粒子と他の素粒子の結合定数の精密測定であり、これにより標準理論からのズレに素粒子ごとのパターンが見い出されれば、今後の素粒子物理学が進む方向性に示唆を与える可能性がある。例えば、暗黒物質の正体やヒッグス粒子が真の素粒子かどうかなど、現在の標準理論では説明が困難な課題に対し、解明の端緒を与える可能性がある。
○ 衝突エネルギー250GeV ではヒッグス粒子の生成断面積が最大化されることに加え、LHC で新粒子の兆候が観測されず、250GeV ILC のヒッグス粒子の精密測定に有効場理論が利用できることが明らかになったことから、ヒッグス粒子の精密測定の実現可能性がより明確になった。
○ 一方、500GeV から250GeV へと衝突エネルギーを下げたことにより、トップクォークの精密測定については、衝突エネルギー350GeV が必要であることから、250GeV ILC では実験ができなくなった。

○ また、新粒子の探索については、2017 年末までのLHC の実験結果で新粒子が発見されなかったことから、LHC では探索が困難なためILC で直接測定することが期待されていた新粒子(強い相互作用をしない超対称性粒子)がILC で発見される可能性は低くなった。
○ なお、大きな質量欠損を伴う現象の観測等の間接的な方法※による暗黒物質余剰次元等の探索については、250GeV ILC においてもその意義は余り下がらない。
ヒッグス粒子のインビジブル崩壊や一光子現象、標準理論粒子の対生成における輻射補正等の測定

 

ここを読む限り、いまいちピンとこない。宇宙のいろんな謎がある中で、ヒッグス粒子の「精密測定」から「今後の素粒子物理学が進む方向性に示唆を与える可能性がある。」という話らしいけど。

「示唆」ですか。何か決定的な情報が得られるわけではないのか…なんか、わくわくしません。

重力波を検出しノーベル賞を受賞したLIGOwikipediaを見ると総額6億2000万ドルをかけた施設とあります。今のレートで687億円。LIGOぐらい夢があって、予算もILCの1/10ぐらいのテーマを探した方が良いのでは、などと思うのは素人すぎでしょうか。それとも貧乏性?でもILCつくるってことはLIGOぐらい野心的なプロジェクト10個ぐらいをあきらめてILC作るってことですからね。しかも、素粒子物理学の進む方向性に「示唆」を与える可能性があるって、魅力なさそーな感じです。

建設費の合計の計算はあきらめ....

前回で建設費の合計の計算をやっていましたが、とっても大変そうで、途中でとん挫しました。

で、合計の計算はとりあえず後回し。合計のうち日本はどれだけ負担するの?という割合に注目です。

 

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shinkou/038/038-6/shiryo/attach/1400966.htm

ここに国際的な期間(ILC推進のための会議?)からのメッセージがあります。

日本語訳では、費用の所はこう書いてある。赤字は私が書きました。

最近の同様の国際プロジェクトの例(※1)では、ホスト国が主要な費用負担を行っています。自ずと、土木建設やその他インフラの建設コストはホスト国が責任を持ち、加速器建設については適切な費用分担がなされることが期待されます。これらの原則に基づいて、加速器をホストすることが明確に意思表明されれば、日本と国際的なパートナーとの交渉が開始されることになるでしょう。また、他国の関係者も、可能な貢献について、自国政府と有意義な議論を開始することも可能になります。

脚注1ILCと近い分野の最近の例は、ドイツにある欧州XFELFAIRである。

英語は

In recent examples of similar international projects(※1, the host country made the majority contribution. A natural expectation would be that the cost for the civil construction and other infrastructure is the responsibility of the host country, while the accelerator construction should be shared appropriately. A clear expression of interest to host the machine under these principles would enable Japan to start negotiations with international partners. It would also allow members of the international community to initiate meaningful discussions with their own governments on possible contributions.

1 Recent examples in the field close to the ILC are European XFEL and FAIR in Germany.

なんと、ホスト国は主要な費用(majority contribution)を負担とは、さていかほどで?

例示されているEuropean XFELは下記に記載がありました。

https://www.xfel.eu/facility/overview/facts_amp_figures/index_eng.html

As the host country, Germany (Federation, Hamburg, and Schleswig-Holstein) covered 58% of the construction costs. Russia took over 27% and the other international partners between 1% and 3% of the construction costs each.

建設費の58 %をホスト国のドイツが負担だそうです。国際プロジェクトと言いながら、ロシアが27%、ほかの国は1-3%しか負担していないんだ。びっくり。ほとんど独露プロジェクトだね。建設費以外の土地代、特殊な造成費用、サイエンスパーク整備費もドイツ負担らしい。

 

FAIRってどうなの。

https://fair-center.eu/partners/de-germany.html

The entire project will cost €1,262 million (2005 figure), with Germany providing the bulk of the funding.

bulkって何%だ?よくわかりません。まだ追加で参加する国を募集中で最終的には決まっていないようにも見える。文脈からして、ドイツが責任もって作るから皆さんお金出してね、っていう順番みたいです。

 

なんとなく、”建設費”の50%強は必要、建設費以外は100%ホスト国負担、ってことで割合については決着がついたことにします。

 

ネットでの意見:高安秀樹先生(2)

d.hatena.ne.jp

上記のblog記事(2011-04-24)に対し、2014/07/13にP太という方がコメントを寄せておられる。

P太P太 記事自体が古いので状況も変わり、今はどの様にお考えになっているかは分かりませんが、
日本の防衛費約5兆、それでも実質効果は疑われているし、お金の流れは固まっていてこれからも変わることはないように思います。国際リニヤコライダー計画がどれだけの成果を上げるのか疑問視されていたとしても、可能性は未知数なのですよね?国際的信頼関係を築き上げることができるかもしれません。それに、1兆円は安い気もするのですがいかがでしょう?パチンコ業界売上げ年間20兆、防衛費5兆円のうち約半分が隊員の給料と食料費。

なるほど、1兆円も安い気もしてきます。金銭感覚は人によって大きく違うので一番合意が取れないところでしょう。だから安いかどうか、というのは議論しないことにします!でもP太さんのように、そもそも1兆円ってどのくらいのお金なのか、それを考えるのは意味があることに思えてきました。

まず1兆円ってどこまでの金額なの?新築したときの家の金額、土地代、塀や電燈の工事費等、家を建てる時でもどこまでの費用かでだいぶ変わるので建設費1兆円ってどこまで入っているの、というのは知りたいところ。

確実な情報ソースは何となく文部科学省。そうすると下記のサイトがあった。最近の議論みたい。

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shinkou/038/038-6/index.htm

趣旨として「国際リニアコライダー(ILC)計画の実施の可否を判断するに当たり課題とされているコストや技術的な性能の確保などについて、専門的見地から検討を行うため、国際リニアコライダー(ILC)に関する有識者会議の下に「技術設計報告書(TDR)検証作業部会」を設置する。平成29年11月に国際研究者コミュニティから公表されたILC計画の見直しについて、特にコストや技術的フィージビリティ等について検証し、留意すべき点について専門的見地から検討を行う。」という事らしいです。

色々見てみると費用削減案を今年検討しているらしい。安くできるようになったわけでなく、最初にちっさめを作ってあとで大きくする、というのが主な内容みたいに思える。仮にそれが正しいとすると削減前の金額が大体の費用と思っていいのかな。そうすると下記がどうも削減前の費用の分析結果らしい。

  1. 本体建設費 9,907 億円
  2. 測定器関係経費 1,005 億円
  3. その他付随経費 (TDR 未記載項目)
  4. 不定性相当経費 建設経費の約25%(TDR 記載項目)
  5. 年間運転経費 491 億円(TDR 記載項目)(実験終了後の解体経費に関しては、現時点で算定されていない。)

うーんよくわからん。合計いくら!って書いていない。買い物だったり、投資だったりでは、で結局いくらなのよって聞いたら、合計いくらです!って言ってくれるのが普通だけど、そうなっていないのね。仕方がない。計算してみる。

  1. 本体建設費 9,907 億円 → そのまま9,907 億円
  2. 測定器関係経費 1,005 億円→ そのまま1,005 億円
  3. その他付随経費 (TDR 未記載項目)→準備経費、土地取得経費、上記の他、海外研究者の生活環境の整備、アクセス道路、ライフライン等のインフラ、計算機センター等の経費と書いてある。オー、すごいいっぱい。ここは後で計算しよう。
  4. 不定性相当経費 建設経費の約25%(TDR 記載項目)→1)2)3)を足した合計に25%をかければよいと推定。
  5. 年間運転経費 491 億円(TDR 記載項目)(実験終了後の解体経費に関しては、現時点で算定されていない。)→ここも後で計算しよう。

3)については、何となく高そうなのは想像ができます。

準備経費だけど、何となく新築物件の設計費って10%ぐらいだから、えいやっと10%とします。そうすると[1)+2)] * 0.1 =1091億円 おー、準備にも結構お金がかかる。

土地取得経費。うーんわかりません。CERNと同じような国際研究所ができるって皆さん言うので、CERNと同じ敷地面積と仮定します(大胆)!そうすると、以下の視察報告ではメインキャンパス Meyrinが80 ヘクタールだそうです。広い!職員は2427名(2010年末)もいるらしい。すごい研究所だね。

http://www.policycouncil.jp/pdf/prop02/siryo3.pdf

 日本だとどこあたりに作るんだろう?

国際リニアコライダー(ILC)の東北誘致について - 宮城県公式ウェブサイト

からたどっていくと

ILC立地評価説明レポート

を見つけた。この資料すごい。真剣に調査しているんだなぁー。p.164に中央キャンパスは25 ヘクタール以上とある。なんだ、CERNの3分の1でいいのね。p.169に研究者・技術者・事務職員だけで最終的に2751人(何年なのかかすれて読めない)。CERNと同じぐらいの人数なのに、広さは1/3のいいのはなぜ?疑問だけどこの際これは無視。

うーん。土地代ゼロ円としても、土地造成費用はいるよね。造成費用ってどのくらいかかるんだろう? 今日はここで力尽きました。それにしてもILCって結局いくらかかるかが書いていないなんて、不親切な文部科学省の資料だなぁ。とりあえず1兆円よりずっとかかることは間違いはなさそうだけど。

 

 

ネットでの意見:高安秀樹先生(1)

ネットでの意見も重要と思い、ちょっと調べてみると下記が見つかった。

リニアコライダーは重要な実験ですが、今はその時期ではありません、物理学者の知恵はもっと他のことにも使えます」、とのこと。国の財政の余裕のないときにやるべきプロジェクトではない、ということらしい。推進派の人は、大きな経済効果があると言っているが、普通に考えればわかるが、大きな経済効果があるならばアメリカや欧州がぜひやりたい、というでしょう。それが言ってこない、ってことは少なくともどうしてもやりたいってほど魅力はない、と考えて差し支えないと思うよね。

d.hatena.ne.jp

ILCは欧州、米国がずっと昔から検討してきて結局断念したプロジェクトと聞きます。
ドイツなんか、テスト施設とみなせるXFEL施設の建設までやって、でも誘致しないと決めた。そこに、日本が手を挙げた。なんか、ダチョウ倶楽部のネタの「どうぞどうぞ」を思い出してしまう。以下、私の妄想です。

  • イギリス「なんで国際リニアコライダー作らないんだよ!!」
  • アメリカ「そんなこと言うんだったら自分で建設すればいいじゃないか。建設するんならちょっとは手伝ってやるよ」
  • イギリス「やだよ、なんで俺がお金のかかる施設、半分も費用を負担しなけりゃいけないんだよ!」
  • ドイツ「いいよいいよ、景気いいし我がドイツが半分費用負担して建設するよ。」
  • フランス「いやドイツが牛耳るのは嫌だ。ここはフランスがかなり費用負担するからフランス人も偉い役どころをよこせよ!」
  • イタリア「待て、イタリアは金がないがでも頑張ってGDPに比例するぐらいは出すよ。リーダーがドイツ人やフランス人だともめるだろ。リーダーはイタリア人にしようよ!」
  • アメリカ「そんなこというなら超大国アメリカもお金出すから、プロジェクトリーダはアメリカ人にしろよ!」
  • イギリス「実はイギリスでちゃんと経済効果見積もったら投資に見合わないって報告書が出てしまった。うちは予算確保はできないよ。でもどこかが誘致するって言って、建設費の半額出すっていえば、なんとか協力できると思うよ。俺は20年もこのプロジェクトにかかわって、定年まじかだ。このプロジェクトがなくなったら俺の研究者人生なんだったんだろって後悔することになる。この際どの国でもいいから作ってくれよ」
  • アメリカ「実はうちも反対意見の報告書が出てしまった。ワシントン連中はやっぱお金にシビアだ。でもアメリカにはトップクラスの技術があるからCERNのプロジェクトに協力するみたいに協力はできると思うよ。ワシントンの連中は、アメリカで使う経費の一部をホスト国から出してくれるならやってもいいって言ってる。」
  • イギリス「まじか、じゃホスト国はアメリカの研究費も一部とはいえ負担するのかよ。」
  • 日本「・・・じゃあ、日本が半額だすっていう話にして誘致するよ。日本は地震が多いし山がちだからトンネル一つとっても詳細設計書よりずっと予算がかさむけど、政府の人たちには詳細設計書の値段しか言っていない。でも安心してよ。みんなは知ってる通り、日本は国際公約って言葉に弱いから、予算が足りなくなっても日本政府は出してくれるはずだよ。さすがにみんなの政府はちゃんと経済効果を査定するからそんなことはできないだろ。アメリカの研究費負担はこれまでも日米協力とかなんとかいって負担してきた実績もあるし。」
  • 世界中の研究所の代表「どうぞどうぞ!」

blog開設のモチベーション

国際リニアコライダー(ILC)は科学研究のためのプロジェクトながら、科学者にあって聞いてもプロジェクトの価値に対する意見は千差万別である。科学的観点からこのプロジェクトをながめ、どんなプロジェクト化をなるべく理性的に見てみたい、という気持ちになった。

そこで、個人的な調べ物の記録としてこのブログを開設しようとおもいました。

今時点では、下記の疑問があります。

  • 30キロの加速器は使い終わったら放射能だらけになって、核廃棄物みたいになるって話を聞きます。トンネルの中に置きっぱなしにするのか心配です。ILCよりは小型のトリスタンという加速器がつくばにありますが、放射能を出す加速器部は置きっぱなしって聞きます。そうすると使い終わったトンネルは、核廃棄物の貯蔵庫になるのでしょうか。福島の原発以外に核廃棄物を新たに作って、さらに夢のある研究の話が核廃棄物貯蔵施設にいつの間にか話がすり替わっている。そんな話にならないでしょうか。
  • 国際的な研究拠点ができる、って言いますが本当に可能なんでしょうか?比較に出されるのはCERNがあるジュネーブです。ジュネーブには外交官やらなんやら第2次世界大戦前の昔から世界中のエリートが集まる街で、そういった人が暮らすための社会インフラが整っていました。例えばインターナショナルスクール、現地校での外国人受け入れ態勢などの子育て環境、クラシック好きにはオーケストラ、バレエ好きにはバレエ公演、家族でも暮らしていいな、っと思える場所なのです。それからスイスは物価(給料)が高い。南欧等の人から見ても高給が得られる職場なのです。ILCは出身国の給料が基準になるという話で給料面での魅力はCERNに遠く及ばないでしょう。そうすると、欧米の一部の研究者が高給で偉いポジションで働いていて、日本人はその2/3から半分ぐらいの給料(大げさかもしれませんが、実際アメリカと日本の研究者の待遇はだいぶ差があります。)で現場で大量にこき使われる、なんてことにはならないでしょうか。みなさん、アルゼンチンやブラジルといった国の聞いたことのない都市でILCができるって聞いて、家族連れて喜んで住みます?日本のILCプロジェクトって、そのぐらいの感覚で欧米から見えているのではないかと思っているんですけど。