ネットでの意見:高安秀樹先生(2)

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上記のblog記事(2011-04-24)に対し、2014/07/13にP太という方がコメントを寄せておられる。

P太P太 記事自体が古いので状況も変わり、今はどの様にお考えになっているかは分かりませんが、
日本の防衛費約5兆、それでも実質効果は疑われているし、お金の流れは固まっていてこれからも変わることはないように思います。国際リニヤコライダー計画がどれだけの成果を上げるのか疑問視されていたとしても、可能性は未知数なのですよね?国際的信頼関係を築き上げることができるかもしれません。それに、1兆円は安い気もするのですがいかがでしょう?パチンコ業界売上げ年間20兆、防衛費5兆円のうち約半分が隊員の給料と食料費。

なるほど、1兆円も安い気もしてきます。金銭感覚は人によって大きく違うので一番合意が取れないところでしょう。だから安いかどうか、というのは議論しないことにします!でもP太さんのように、そもそも1兆円ってどのくらいのお金なのか、それを考えるのは意味があることに思えてきました。

まず1兆円ってどこまでの金額なの?新築したときの家の金額、土地代、塀や電燈の工事費等、家を建てる時でもどこまでの費用かでだいぶ変わるので建設費1兆円ってどこまで入っているの、というのは知りたいところ。

確実な情報ソースは何となく文部科学省。そうすると下記のサイトがあった。最近の議論みたい。

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shinkou/038/038-6/index.htm

趣旨として「国際リニアコライダー(ILC)計画の実施の可否を判断するに当たり課題とされているコストや技術的な性能の確保などについて、専門的見地から検討を行うため、国際リニアコライダー(ILC)に関する有識者会議の下に「技術設計報告書(TDR)検証作業部会」を設置する。平成29年11月に国際研究者コミュニティから公表されたILC計画の見直しについて、特にコストや技術的フィージビリティ等について検証し、留意すべき点について専門的見地から検討を行う。」という事らしいです。

色々見てみると費用削減案を今年検討しているらしい。安くできるようになったわけでなく、最初にちっさめを作ってあとで大きくする、というのが主な内容みたいに思える。仮にそれが正しいとすると削減前の金額が大体の費用と思っていいのかな。そうすると下記がどうも削減前の費用の分析結果らしい。

  1. 本体建設費 9,907 億円
  2. 測定器関係経費 1,005 億円
  3. その他付随経費 (TDR 未記載項目)
  4. 不定性相当経費 建設経費の約25%(TDR 記載項目)
  5. 年間運転経費 491 億円(TDR 記載項目)(実験終了後の解体経費に関しては、現時点で算定されていない。)

うーんよくわからん。合計いくら!って書いていない。買い物だったり、投資だったりでは、で結局いくらなのよって聞いたら、合計いくらです!って言ってくれるのが普通だけど、そうなっていないのね。仕方がない。計算してみる。

  1. 本体建設費 9,907 億円 → そのまま9,907 億円
  2. 測定器関係経費 1,005 億円→ そのまま1,005 億円
  3. その他付随経費 (TDR 未記載項目)→準備経費、土地取得経費、上記の他、海外研究者の生活環境の整備、アクセス道路、ライフライン等のインフラ、計算機センター等の経費と書いてある。オー、すごいいっぱい。ここは後で計算しよう。
  4. 不定性相当経費 建設経費の約25%(TDR 記載項目)→1)2)3)を足した合計に25%をかければよいと推定。
  5. 年間運転経費 491 億円(TDR 記載項目)(実験終了後の解体経費に関しては、現時点で算定されていない。)→ここも後で計算しよう。

3)については、何となく高そうなのは想像ができます。

準備経費だけど、何となく新築物件の設計費って10%ぐらいだから、えいやっと10%とします。そうすると[1)+2)] * 0.1 =1091億円 おー、準備にも結構お金がかかる。

土地取得経費。うーんわかりません。CERNと同じような国際研究所ができるって皆さん言うので、CERNと同じ敷地面積と仮定します(大胆)!そうすると、以下の視察報告ではメインキャンパス Meyrinが80 ヘクタールだそうです。広い!職員は2427名(2010年末)もいるらしい。すごい研究所だね。

http://www.policycouncil.jp/pdf/prop02/siryo3.pdf

 日本だとどこあたりに作るんだろう?

国際リニアコライダー(ILC)の東北誘致について - 宮城県公式ウェブサイト

からたどっていくと

ILC立地評価説明レポート

を見つけた。この資料すごい。真剣に調査しているんだなぁー。p.164に中央キャンパスは25 ヘクタール以上とある。なんだ、CERNの3分の1でいいのね。p.169に研究者・技術者・事務職員だけで最終的に2751人(何年なのかかすれて読めない)。CERNと同じぐらいの人数なのに、広さは1/3のいいのはなぜ?疑問だけどこの際これは無視。

うーん。土地代ゼロ円としても、土地造成費用はいるよね。造成費用ってどのくらいかかるんだろう? 今日はここで力尽きました。それにしてもILCって結局いくらかかるかが書いていないなんて、不親切な文部科学省の資料だなぁ。とりあえず1兆円よりずっとかかることは間違いはなさそうだけど。